ただの男がバイクで世界一周を叶えるまでの記録。

高校生からの夢、バイクで世界一周を叶えるまでの記録をまとめたブログ。旅の理由、決断に至るまで、お金のこと、旅の準備、旅の様子など、考えうる全てを後に続くライダーのために残したいと思っています。

【Day164 Antfagasta〜Chañaral】無心

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5月4日(木)晴れ 14℃〜32℃

 

8:29 野営地

6時起床。OD缶を使い切るためにシングルバーナーで湯を沸かし、コーヒーとマフィン2つ、クッキー2枚で朝飯。ひもじい飯だがないよりマシ。

 


昨夜は装備を粗方バッグに入れて寝ていたため、撤収も楽だった。

しかしテント横の濡れた地面が気になるが…立ちション?臭いもなく、そもそも音で絶対に気付く。

そういや昨夜は一台車が砂浜を走った後戻ってきて目の前で停止した以外は何事もなかった。すぐに気づいたためソッコーで顔を出したらすぐに発進していった。

最近はこう言う時、恐怖よりも怒りが先に顔を出すようになった。頼もしい限りだが、慣れきって油断している証拠だ。気を引き締め直そう。

 


気づけば5月も4日になってて、あと3日で合併号明けのジャンプも読める。

ここまで連夜野営するのもアウストラル以来。

 


テント片しながら思った。

野営もまた、バイクと同じくらい俺に必要なものなのだ。

キャンプではない、自分に負えるだけのリスクを負った野営。

バイクに乗ることは哲学的行為だが、俺にとって野営は敬虔な宗教家が礼拝堂で祈りを捧げる行為に等しいのだろう。

 


さて、日も昇って青空も戻ってきた。今日もご安全に。

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暗いうちから飯。このOD缶も案外長持ちして驚く。
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砂浜のはずなのにここもペグが刺さらず。また蹴って折るのを防ぐため目印とガードとして石を置く。
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タイドプールで遊ぶ。初めて見る柄の貝などが見られる。3枚目のように流れ込みのある場所は珍しい。
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通りすがりの御犬様。挨拶したら尻尾だけゆっくり動かし始めてテクテク近づいて来てちょこんとお座り。かしこいやつだ。
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謎の濡れ跡。
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いきなり夥しい数の鳥が北に移動し始めたため慌ててカメラ持って駆け寄った。
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小磯に佇むカモメとハゲワシを撮りまくった。ハゲワシはアウストラル街道のような豊かな山の中にも、R40のような草木のない荒野にも、ここのような海辺にも幅広く生息していた。そして気のせいか見慣れただけなのか、アウストラルのハゲワシが最も大きかった。
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エキパイのナットを紛失した際に番線を携行しなかったことを後悔したが、ここに来て拾えた。番線は熱で溶けない優秀な修理材である。命綱にも何にでも応用が効く。

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最後の最後でやらかさないよう、面倒だがオイル量も確認。平均速度を上げることで万が一でもオイルが燃えていたらと考えた。

 

 

21:47 Chanaral 20km先 Playa el Calenche野営地

連日走る走る走る、ただ走るのみ。

もはやバイクと人間、どっちが主体かもあやふや。

いや、言うなればこれこそ真の意味での人馬一体なんじゃないか。

エネルギーとなるガソリンをバイクに入れたら人間にも同様に餌をやる。バランス取ってアクセル回すための装置と化す。

それもあってか、今日は出発が遅かったのに500km走行を記録した。特別疲れている訳でもない。

 


チャニャラルのCOPECで野営させてもらおうとしたが、やっぱり五月蝿いしせっかく海にいるから夕陽を眺めて寝ようと思い、17時半と遅い時間で日も水生線に沈み掛けていたが賭けに出て走り出した。すると30分ほどでここを見つけた。

どうやら海水浴場らしいが、レストランの店員の兄ちゃんに念のため確認すると何日でも使って大丈夫だよと言ってくれた。

ゴミ落ちてるとこもあるが、これも昨夜の野営地と同じく海水浴客によるものだろう。ここは潮汐の心配もない。

 


良い加減肉が食いたかったため、街のスーパーでチョリ5本セットと米、追加の醤油を買った。醤油はカサマッテの生活でも使うしね。

チョリ3本と米2号掻っ込んだ。ラ・アノニマのチョリには負けるが、しっかり肉らしくて美味かった。ただ、やっぱり米よりパンが合うな。ついでに残りの日数分の缶詰も補充した。

 


サンティアゴまで残り1000kmを切った。このままのペースで進めば、あと3日で帰り着くだろう。

毎日延々と走り続けて感慨に浸る暇もないが。

 


ああ、考え事といえば、全部終わってから住む場所をずーっと走りながら考えていた。

本当に東京に住みたいのか。

次の冒険の舞台として、とは言うが、まだ冒険を本当に続けたいのか。

それよりも本当の安寧を求めているのではないか。

新しい冒険は長崎でもできるのは理解している。それが新天地に負けないくらい魅力的なのも知っている。

かつひろやけいすけの顔が浮かぶ。あいつら家族の姿を傍で見つめ、俺に家庭ができれば一緒に苦労も喜びも分かち合いたい。

そんなことを考えていた。

まだ早いっての。ははは。

 


ともかく残り数日。

ここが正念場。

気を抜けば死ぬ。ご安全に。

 

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200km〜400kmおきに現れる荒野のガソリンスタンド故に、行列になることもある。
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あまりに寒いため道端でレモンティーを温めて飲む。20歳の頃から長年愛用するカップだからバーナーに晒して大丈夫かとビビったが、ガス火なら問題ないらしい。
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まだ15時くらいでも一日が終わる気配がやって来る。快晴だけどめちゃくちゃ寒くて全身MAX防寒。
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あら、名前忘れちまった…。名刺もらって後で写真送ってて言われてたな。久々英語で人と話せて顎のストレッチになった。
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御犬様に見守られながら設営。
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マジアワ。
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ファイアスターターで火花飛ばして着火した瞬間のボワッも好き。
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米炊きとチョリソーを同時に。
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不味そうだな…。やはりチョリソーはパンと食うものだ。

 


走行距離 500km

金 ガソリン3000 水150 食糧1500

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