ただの男がバイクで世界一周を叶えるまでの記録。

高校生からの夢、バイクで世界一周を叶えるまでの記録をまとめたブログ。旅の理由、決断に至るまで、お金のこと、旅の準備、旅の様子など、考えうる全てを後に続くライダーのために残したいと思っています。

【Day288 Vancouver〜】満足だ

9月6日(水)晴れ

 


18:02 バンクーバー発羽田行きANA機内

5時半起床。

カズヤさんを起こさないように静かに支度。

朝食はカズヤさんがおにぎりを握ってくれた。俺が握り飯の具で一番好きな昆布、そして梅と韓国海苔。泣きそうになるほど美味い。

カズヤさんはブルーベリーやヨーグルト、プロテインをミキサーで混ぜて飲んでいた。毎朝のルーティーンらしい。コーヒーまで頂いてしまった。

マメで自分の世話は自分でできる良い男だった。

 


7時半、車で一緒に出勤。ウィンドベルさんの開店まで黙々とパッキングしていたら、トモヒロさんがやって来て昨日のやらかし話で笑ってもらった。

 


次いで金谷さんたちもやって来て、昨日はお世話になりましたと頭下げるも笑ってもらえた。

バイクの査定も依頼。

結果、10万円。二人で消えかかった蝋燭の炎のように迸る走りをした。お前も十分だろ。

 


10時、金谷さんの心遣いに甘えて最後にセローと近所を流す。

何度も通った名も知らぬ橋からの眺めに、ここで初めて走り出した日を思い出す。

 


11時半、最後にお店の皆さんと記念写真。皆さんと握手をして再会を約束。

金谷さんに空港まで送ってもらって深く頭を下げ、感謝を伝えた。金谷さんも近々暫く日本に帰るらしい。また日本でも会おうと約束した。一介の旅人でしかない俺に、本当に本当に良くしてくださった。お世話になった。

 


13時、ティムホ食いながらこれからの生き方を考える。出発の日を迎えてもどこか他人事のようだった心が、次第に現実に近づいて来る。

 


14時、見送られ搭乗口を進む。何事もなく通過し、一人ポツンとゲートで佇む。上の空?

 


16時半、日本語の案内を聞きながら今から帰る国を想う。

もう乗ってしまったら、日本。また他人事のように感じる。

 


そして現在。

既にバンクーバーから1000km離れ、小さな窓の外には夜の気配が歩み寄って来ている。

 


スマホの写真を見た。

11月から9月までの9ヶ月間。

俺の歩みを止めさせ立ち尽くして見た自然、優しくしてくれた人たちの笑顔が沢山あった。

 


満足だ。

一片の悔いもない。

満足だ。

俺にはこれ以上の旅はできない。

命を賭けた。

俺にできるだけのことをした。

それでも及ばない俺を、この人達は助けてくれた。

想い焦がれ続けてきた世界は、俺を迎えてくれた。

 


満足だ。

俺は主人公だった。

満足だ。

 


俺は、間違っていなかった。

 

 

走行距離 5km

金 ティムホ1000+2000