9月6日(水)晴れ
18:02 バンクーバー発羽田行きANA機内
5時半起床。
カズヤさんを起こさないように静かに支度。
朝食はカズヤさんがおにぎりを握ってくれた。俺が握り飯の具で一番好きな昆布、そして梅と韓国海苔。泣きそうになるほど美味い。
カズヤさんはブルーベリーやヨーグルト、プロテインをミキサーで混ぜて飲んでいた。毎朝のルーティーンらしい。コーヒーまで頂いてしまった。
マメで自分の世話は自分でできる良い男だった。
7時半、車で一緒に出勤。ウィンドベルさんの開店まで黙々とパッキングしていたら、トモヒロさんがやって来て昨日のやらかし話で笑ってもらった。
次いで金谷さんたちもやって来て、昨日はお世話になりましたと頭下げるも笑ってもらえた。
バイクの査定も依頼。
結果、10万円。二人で消えかかった蝋燭の炎のように迸る走りをした。お前も十分だろ。
10時、金谷さんの心遣いに甘えて最後にセローと近所を流す。
何度も通った名も知らぬ橋からの眺めに、ここで初めて走り出した日を思い出す。
11時半、最後にお店の皆さんと記念写真。皆さんと握手をして再会を約束。
金谷さんに空港まで送ってもらって深く頭を下げ、感謝を伝えた。金谷さんも近々暫く日本に帰るらしい。また日本でも会おうと約束した。一介の旅人でしかない俺に、本当に本当に良くしてくださった。お世話になった。
13時、ティムホ食いながらこれからの生き方を考える。出発の日を迎えてもどこか他人事のようだった心が、次第に現実に近づいて来る。
14時、見送られ搭乗口を進む。何事もなく通過し、一人ポツンとゲートで佇む。上の空?
16時半、日本語の案内を聞きながら今から帰る国を想う。
もう乗ってしまったら、日本。また他人事のように感じる。
そして現在。
既にバンクーバーから1000km離れ、小さな窓の外には夜の気配が歩み寄って来ている。
スマホの写真を見た。
11月から9月までの9ヶ月間。
俺の歩みを止めさせ立ち尽くして見た自然、優しくしてくれた人たちの笑顔が沢山あった。
満足だ。
一片の悔いもない。
満足だ。
俺にはこれ以上の旅はできない。
命を賭けた。
俺にできるだけのことをした。
それでも及ばない俺を、この人達は助けてくれた。
想い焦がれ続けてきた世界は、俺を迎えてくれた。
満足だ。
俺は主人公だった。
満足だ。
俺は、間違っていなかった。
走行距離 5km
金 ティムホ1000+2000