お疲れ様です、ファササビです。
やっとこさ重い腰を上げ、この魂の二作について語る。
↓Googleブックスで試し読みできるみたい。
一作目である『世界の果てまで』との出会いは2017年の春だった。
日本一周前にお世話になった富士山ホテルで一緒に働いたKちゃんが当時の約束通り、チャリンコ日本一周の際にわが家に遊びに来てくれた。その際にお互いの旅の話になり、吉田さんの話になった。
K「西村さんと入れ替わりでしたもんね。残念です」
フ「そうなんよね。俺も話してみたかったわ。羨ましいわ」
K「吉田さん、旅行記を出版されてますよ。読んでみたらどうですか?」
こんな会話をしたのを覚えている。出版されているのはこの時初めて知ったと思う。
Amazonで速攻注文。
届いてからはそりゃもう、噛り付くように本を握って読み進めた。雰囲気の良い場所で読むには最高の本だから、色んなとこで読んだためどちらもボロボロになった。
バイク旅しか知らない私からしたら、それはもう冒険というしかない自然と人間との戦いの日々で、緊張と好奇心が混じった気持ちで読み進めた。
常に危険と隣り合わせの旅の中でも多くの人から無償の優しさを受けて、吉田さんは一歩一歩確実に歩を進めていく。
私が強烈に影響を受けたのは『プロローグ』のこの一節だ。
私はなぜ生まれてきたのだろうか。
何のために生きるのだろうか。
生きた証を残せるのだろうか。
そんな思いが頭の中でグルグルと渦巻いていた。
何をやっても中途半端で投げ出し、何一つやり遂げたことが無かった。そんな自分と決別したかった。
過去に戻ることはできないけれど、未来はこの手で変えることができると。
自分が納得できることを成し遂げた時、私は生きた証を残し、この人生に意味を持つことができると信じていたし、さらなる一歩を踏み出すことができると考えていた。
この一節から私は勇気を貰った。なぜなら、「こんな凄いことをやり遂げた人でも、俺と同じような悩みを持つことがあるのか」と気づくことができたからだ。
この気づきは海外ツーリングフェスタで先人たちと会ったとき、海外ツーリング読本を読んだ時と同じ気持ちだ。
まずは資金を貯めるために働くこと、そして装備品を提供してくれるスポンサーを獲得するべく片っ端から飛び込み営業をした。スポンサーは、出発予定日の一年前から探し始めた。
仕事の合間に協賛以来の営業をするハードな生活ではあったが、全ては夢を実現させるためであり、充実した日々を過ごしていた。
この一節は私の旅の準備に大きく影響を与えている。
「泥臭く資金を稼いでも良いじゃないか」
考えが変わり、私はあり得ないと思っていた期間工での資金獲得を覚悟した。
そして、お金がないなら無いなりに、スポンサー依頼などの手段もあることを知ることになった。
次の冒険の舞台はアフリカへと移る。
今作では更に厳しい自然や人との闘いが記され、アフリカの大地の凄まじさを知ることになった。
日々の食事、野営などの重要性がより強く描写されるようにも
なった。
一作目もそうだが、とにかく、飲んで食わねば体は動かなくなり、路上で死ぬことになるという事実を突きつけられる。バイク旅しか知らない私にはこの辺りのシビアな事情は強烈だった。
アフリカ縦断では水の貴重さがより一層強調された描写が増えた。綺麗なミネラルウォーターを口にすることもあれば、ガソリンの匂いのする水まで口にする場面もあった。
また、食事の質も水の質と同様に国によってまばらであり、そのたびに一喜一憂する吉田さんの様子にリアルな旅を感じる。美味そうな食事の様子には、なんども生唾を飲み込んだ。
アフリカ縦断でも印象に受けた言葉は多い。
その中でも、以下の一節は強く印象に残っている。
透明な水が手に入った瞬間、茶色い水は私にとって不要なものになった。しかし、この地で暮らす人にとっては生きるために必要な水である。水を捨てるという軽率な行動をとったことを恥じた。
砂漠を歩き続けてきたことで、水の大切さについて知ったつもりだった。茶色い水を口にすることで、砂漠の民に近付けたと錯覚していた。
しかし、依然として水に対する価値観や考え方に大きな隔たりがある現実は、少しだけ高くなっていた私の鼻を見事にへし折ってくれたのである。
この一節は水の大切さ、旅をすることで得られるものについて考えさせられた。
知らない土地を訪れ、少しばかり現地の様子になれてしまうといかにも自分がその土地の価値観を受け入れ、染まることができたかのように思うことは、短いバイクツーリングでもある。吉田さんの旅の速度でこう思うのだから、バイク旅なんて尚更だ。驕らず、気取らず旅を続けたい。
長い長い過酷な旅も終盤となり、遂に最後の国である南アフリカに到着する。
しかしその時、最後の最後に今まで遭ったことのない強盗被害に遭ってしまう。この出来事から一気にクライマックスを迎えるのだが、この事件があったからこそだろうか。旅のフィナーレが最高に気持ちが良いのだ。丸でよくできた映画のように最高の読後感を私に与えてくれた。
フィナーレの場面でもだが、アフリカの大地においても多くの人から無償の優しさを受け、日々の精神も肉体も削れていく過酷な旅を続けてこられたはずだ。
その様子を見て、「俺もこんな旅がしたい」と純粋に思わせてくれるのだ。
この二作が教えてくれるのは、「旅はこんなにも面白い」ということ。
また、「どんな人間にでもその可能性はある」というということ。
ありきたりな感想であるが、これが究極である。
少なくとも私は一作目を読んでいないと、今の状況は随分先になったか、ありえなかったかもしれない。それほどに勇気を貰い、背中を押してもらえた。
終わりに
現在世界は危機的状況にあり、もはや私の旅なんて二の次さんの次になりつつある。
来年出発できるかどうかも不明であり、工場が止まったことでそもそもの資金が足りない可能性も出てきている。生きているかさえ怪しい。
そんな状況で焦燥に駆られそうになったが、先日アフリカ縦断の3週目を読んだ際にこの言葉を頂いていたことを思い出した。
「Keep going,keep strong.(頑張って歩き続けろ)」
バイク乗りである私の場合、「頑張って走り続けろ」だろうか。
アフリカ縦断にて、スーダンで出会ったサイクリストのジョンソンさんへ強盗に遭ったことを連絡した際に、彼から頂いた言葉だ。この言葉は強盗に遭った吉田さんを強く励ました。
その言葉が巡り巡って、私に今、再び熱を与えている。
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