ただの男がバイクで世界一周を叶えるまでの記録。

高校生からの夢、バイクで世界一周を叶えるまでの記録をまとめたブログ。旅の理由、決断に至るまで、お金のこと、旅の準備、旅の様子など、考えうる全てを後に続くライダーのために残したいと思っています。

【Day80 Rio Gallegos】人生ってのは奇妙な縁で出来ている

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2月8日(水)晴れ


19:40 アンナさんち

昨夜はサンティアゴ到着の日以来に気絶したようだ。「動物だらけの一日だった」と書きたかったはずだ。

街に着いたのは19時で、ガソスタのWi-Fi使ってロベルトさんに連絡取れてカネラさんにも助けてもらえて何とか合流できた。


晩御飯に寿司バーに連れて行ってもらって、初の海外寿司を経験させてもらったのだが、巻き寿司は普通に美味しかったと思う。海外で独自の進化を遂げ、もはや新しいものとして完成されている気がする。黒胡麻がまぶしてあるのは面白いなと思った。


んで肝心の握りだが、最も美味そうな見た目なのに色々と惜しかった…!!シャリとネタの水分が多かったのかな。酢の味も前に出過ぎていた。うーむ…やはり握りはそれだけ難しいてことか。でも久々生魚も酢飯も食えたし満足。ごっさんした!!

お店の雰囲気も日本中国韓国混じり合ったサイバーパンクな雰囲気で面白かったな。そのままゲームや映画に出られそう。

 


んで帰って9時半まで爆睡してしまった。きたねー顔してるから髭剃ってコンタクトつけてフルーツにパンに生ハム数種にと、絵に描いたような美しい西洋の朝食。というか、このアンナさんの家がめちゃくちゃ豪邸なのだ。何もかも彼女の綺麗好きなところが行き届いているし、センスも垣間見える。というかそれもあって緊張して気疲れして気絶したのもあるかも。

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坪井さん、あなたの旅がこんな形でまだ続いていますよ。ほんとすげえよな。32年前に坪井さんのバイクを買ったロベルトさんと、当時生まれてばかりの俺が今こうして…。人生ってのは…。
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ウキウキな俺。美味しいかどうかより、どんな姿形と味をしているのか。海外の食文化体験の面白さはそこにある。
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ポケモンゴジラ。確かにキャッチーで日本のポップカルチャーの王様と言える。カタカナとかもクールだったりするのだろうか。
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長崎人の俺としては中国の提灯・紅灯(ランタン)は割と馴染みがある。ああ、ランタンフェスティバルを思い出して腹が減ってきた…。
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鉄製の船に箸というとこに韓国の顔を見る。アンナさんは木製が好きなのって言って替えてもらってた。巻き寿司は揚げてあったりアボカドソースやチーズで包まれてたりだが、普通に美味い。握りは進化を期待するぜ。何も日本と同じにする必要はないからな。
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アンナさんに米=アメリカ=riceを説明するのに使った図。俺自身なぜアメリカが米なのか知らんのだ。
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帰宅してからの紅茶。アンナさんは日本も他のアジア圏も好きなようだ。賢いからだろうか、他国の文化へのリスペクトが凄い人。

 


その後はブログ作業やって、14時からは軽くお昼もいただいてアンナさんと色々話した。

彼女はずっと教師として働いてきたらしい。人に物を教えるのが面白いとニコニコしながら言っていた。

海外旅行にも沢山行っていて、日本にも何度か遊びに来てくれているようだ。東京や京都、兵庫や静岡、広島まで行ってる写真を見せてくれた。まさかアルゼンチンでお好み焼きテロを喰らうとは…。

海外を見ながら移り住むことも考えたことがあるが、結局生まれ育ったこの街で過ごしていると言っていた。ユーシはどうなのと聞かれたが、俺はまだチリとアルゼンチンのほんの上澄みしか知らんからな〜。昼飯もめちゃくちゃ美味かった。

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ニッコニコの朝飯。もう今回の旅でこれ以上のものは精神的にも物質的にも不可能だ。
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与えられた一室にはトイレもお風呂も付いている。こんな綺麗な洗面台…。
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穴開いたブーツカバー。とりあえずいつものテープで修繕。頼むから最後まで持ってくれよ。

 


16時からはロベルトさんと一緒に街へ出かけた。昨夜、「バイクに何か不安はないか?」と聞かれたため、「日本製のチェーンに交換したい」と伝えて、この際だから助けを借りることにした。


バイク屋へ行く前に彼の仕事場へ行った。どうやら何か見せてくれるらしい。

そしたら、驚いた。彼は牧場主だった。

目に映るどデカい平原一帯が彼の敷地であり、そこに羊を放

放っている。夏掛けを刈る季節のようで、そのための施設を見学させてもらった。木造の工場に毛を刈るために羊を入れるスペースがあり、何やら見たことない年期の入った機械で毛を刈り、これまた見たことない謎の機械で羊毛を木箱に押し込んで圧縮してそれを袋に詰め込んで…。

作業員の寮や調理場も別にあり、牧羊犬4匹の犬小屋、馬小屋、夏に住み込みで作業するための家もあった。トマトやイチゴを育てるための温室、ブランコのある芝がよく整えられた公園も…。

もうめちゃくちゃだ。とんでもない。映画やゲームで見て憧れた海外の牧場の姿そのものだった。

見学中の俺はさぞ少年のように目を輝かせていたことだろう。俺の反応を見てロベルトさんも嬉しそうだった。


その後は一年通しで働いているという採石場にも行ったが、ここもまた彼がボスのようだ。

ロベルトさん、とんでもない人だな。全然その辺のお父さんな見た目だから、いい意味でとてもそうには見えなかった。坪井さんに会った当時はどうされていたんだろう。今度聞いてみよう。

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初の左ハンドル車での助手席乗車。
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牧場のための風車を製作中のようだ。
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つれないニャンコロ。
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完全にRead Dead Redemptionの世界。今からギャングが押し掛けてきて銃撃戦が始まるか、NPCに声掛けて羊を小屋に集まるイベントが始まるやつ。

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あ、家を撮り忘れた。とにかくこの辺全部ロベルトさんの城。半端じゃねえよ…。
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採石場。ここでもようわからん巨大な機械を沢山見た。
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キッカケをつくってくれた娘さんのカレナさんとその妹さんとお母さん。スペインにいる彼女のとこへ奥さんも遊びに行っていて、ロベルトさんはこの街にお留守番しているところなのだ。写真でも美しい方だったが、実物の方が美しくて驚いた。スマホ構えたらみんなでポーズ取ってくれた。

 


そしてバイク屋に向かい、二軒目で日本製であるDIDのチェーンを置いてあるバイク屋に巡り会えたため、一度バイクを撮りに戻り交換してもらった。

バイク旅の先輩方が話していたように、一応作業に問題がないか眺めていたが、高橋さんと杉さんから教えられた通りの動作をされたいたため安心した。それにロベルトさんの行きつけのお店であるため、安心して任せられると思い少し早めの交換に踏み切ったのもある。これで最後までチェーンは心配しなくていいだろう。


一安心してバイクを眺めていたら、お札を数えてお店の人に渡すロベルトさんの姿が視界の隅に映ってハッとし、いやいやいや!!と割って入ったが「俺に任せろ」と笑顔で言うので大人しく素直に甘えさせてもらった。9,500円だぞ?安くないからさ…。

とにかくお礼を言って、その場にいた人達で写真を撮って帰った。

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バイク屋を見る目はある方だと思う。今まで当たりしか引いたことがない。

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他のお客さんが連れてきたお犬様。地面食ってる?
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チェーン以外のとこもちょこちょこ見てくれた。本当にありがとうございました。

 


んで今は21時開始のアサードを待っているわけだ。帰宅時はアラートが鳴り響いて大変だった…。さすが格式高い家は防犯システムもしっかりしている。


さて、今はひとりで落ち着いているし、酔っ払ってまんぷくなったらまたロクに書けなくなるので、今のうちに書いておく。


日本時間で今日の夕方、お父が逝ってしまった。

今朝お母からLINEの来てな。「天国に逝ったよ」て。だろうな。お父なら間違いなく天国に行ってるだろうよ。

その連絡を受けた時はさすがに面食らって動揺したが、何故か今は不思議と落ち着いている。そもそも実感がなくてな…。爺ちゃんや南さん、かつひろのおじちゃんの時もそうだったが、棺や墓の前に立ってやっと現実なのだと理解するもんだ。


しかしお母や姉ちゃん、光生は今頃朝になってこれが夢ではないと改めて知って悲しみと向き合いながらも色々と準備を進めていることだろう。本当にごめんな、こんな時に俺は海外で。

少し落ち着いたら皆んなにはしっかり労いをしないとな。


そしてお父、また急やったな。もしかしたら会話はできずとも病院のベッドに寝とる姿くらいは案外見られるかもなんて思っとったぞ。

だが、勝手やが、早く逝ってお母達に楽させたんやろうと俺は思っとる。勝手ですまんがな。


今更言うことはもうない。こないだビデオレターも送ったし。見てようがいまいが関係ない。俺はアレでケジメをつけたからな。


しこたま泣くのだって帰って墓の前に立ってからだ。それまで俺は男らしく今を生きる。このやりかけたものをしっかり終わらせる。お父のことを思って泣くのはそれからだ。悪いな。


お母から聞いたが、けいすけも見舞ってくれたらしいな。かつひろも話をきたら同じようにしてくれるさ。いや、俺の周りの人達はみんなそうだ。


だから、そういうことだ。西村文雄の息子ってことよ。

今まで通り、何も心配することはない。俺もこれまで通り、俺の志を貫くよ。


旅の話はまた今度だ。また会おうで。俺はせいぜい100までは生きるがな。楽しみに待っていてくれ。

 

全く人生、色々あるよな。

 

 

 

走行距離 25km

金 0円(チェーン交換9,500円はロベルトさんが出してくれた)