ただの男がバイクで世界一周を叶えるまでの記録。

高校生からの夢、バイクで世界一周を叶えるまでの記録をまとめたブログ。旅の理由、決断に至るまで、お金のこと、旅の準備、旅の様子など、考えうる全てを後に続くライダーのために残したいと思っています。

【Day42 Pucon】Prologue

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1月1日(日)小雨のち曇り

22:19 野営地

一日ニートしてた。

12時まで爆睡して、川の向こうの湖畔に移動してトリコ読んでたら腹減って来たけんアサリの缶詰で飯食って、また夜まで寝て…。

海外まで来て何しよるんかとも思わんでもないが、これはこれで特別な時間だろうさ、たぶん。

19時に起きて少しブログ書いて、酒のつまみがないため近所のスーパーへ。ビールとドリトスと魚缶買って、ついでやし誠先輩と電話した。今日からもう仕事らしい。農家さんは大変だ。

 

飲みながらヤマノススメを最後まで観たが、素晴らしい最終回だった。丁度7年前の2015年、俺も富士山ホテルで働き、勤務終了後の最後の朝に最高の御来光を眺めた。そして日本一周が始まり、終了後、バイクでの世界一周を周囲に宣言した。

だから、あおいの一度敗北を味わった上での富士山登頂には特別に感じるものがあった。

 

さて、明日はお役所でパドロンの確認だ。紙で発行してもらうだけだから大したことないよな?そもそもまだ年末年始で営業してないと思うが…。行くだけ行ってみよ。

 

走行距離 30km

金 食糧830

 

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アサリ?なんかわからんが貝だ。吉原さんもよく食ってたとか言ってた気がする。魚缶より量は少ない分安いし食べ切りサイズ。魚缶は450gもあるからね。
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米や野菜をいつも実家や日産苅田工場服役中だった俺に下さって応援してくれる先輩。バイク持っとる癖に中々乗らない乗る乗る詐欺の常習犯。
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帰り道、この山々だけ夕日に照らされている光景が何とも迫力があり撮影しようとしたが、単焦点45mmではとても入りきらずスマホで。

 

 

 

おまけ

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日記には書いてないことだが少し富士山の話を…。

これはローテーション交代の時の9時間休みの時、仲間数人と初めて山頂に登った時の写真だ。

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富士山の本八合目、標高約3400mに位置する富士山ホテルという山小屋で2015年6月25日から7月25日までの1ヶ月間、働かせて貰った。

夏に計画している日本一周の軍資金を稼ぐためだ。

高山病で飯は食えんわ蕁麻疹やヘルペスも出るわ、そもそもレアな喘息で爺さん並みの呼吸器だからまともに息ができんわで最初の二週間は大変だったが、その時の経験があるから今でも「まぁ、あんときに比べりゃ…」と自分を保てている。

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これは山小屋の壁の一部。お客さんが名刺などを貼っていくスペースだ。ヤマノススメ有志の方はお客さんの中にもチラホラ見られた。今ではチリであおいの登頂を見届けるなんてな…。しかもチリ富士の麓で。

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富士山での1ヶ月間での生活の中で、私は何よりも山小屋からのこの景色が大好きだった。寒さに震える夜を越えてやっと拝めるこの日の出は、まさに御来光と呼ぶに相応しかった。陽光が私達の身体を暖かく解きほぐしてくれた。
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7月26日深夜、仲間たちに見送られ、私は一人御来光登山へ出発した。山小屋で書いたお世話になった人達への手紙も富士山の郵便局から送った。
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「勤務終了後に一人登頂し、日本一周をスタートさせる」

このことに拘りを持って1ヶ月間働いた。天気にも恵まれ、富士山ホテルとの別れは最高の形で締め括られ、ここから日本一周が始まった。
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多くの人々が同じ方向を向き、ただ静かに日の出を見つめる。私の中の御来光といえばこの光景だ。上手いこと言うつもりはないが、世界は何と簡単なのだろうと思った。

2015年7月26日の私は、紛れもなく物語の主人公であった。数日後バイクで走る景色を日本一高いところから見下ろした。すっかり青空になった富士山を一人、その胸の高鳴りを誰にも知られることもなく後にした。
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砂走りで爆走して下山後、私は早朝の新宿の街に降り、夢心地のその脚でWTN-J発行の『海外ツーリング読本』出版イベントのために原宿へ向かった。

そして坪井伸吾さんに出会い、大きな歯車が音を立てて動き始める…。

 

その通り、思えばここから全て始まった気がする。

親父が倒れなければ、いや、そうでなくとも何か小さなことが違えば大工を続けていたのかもしれない。

様々な要因があって、すれ違いがあって、嬉しいこと悲しいこと、その積み重ねの末出会いや思いを生み、一つの大きな行動へと昇華する。

富士山ホテルに行くのを決めたのだって、ヤマノススメの影響という何とも些細なきっかけなのだ。

富士山での1ヶ月は、これから生まれるだろう大きな経験にだって負けないと断言できる、唯一無二の時間だった。

あのとき、私は主人公だった。

あの感覚が欲しくて、私は今も旅を続けている。

 

 

 

さらにおまけで当時の日記と振り返り

【日本一周ツー マイナス30日目~0日目】

酔いどれ自分語り。
軍資金のために富士山に行ってきた。
以下リアル日記から抜粋。

6月28日(日)晴れ
下痢地獄。30分に一度は便所へ。
食欲不振、頭痛目眩息切れフルカウント。
風呂に入れないとかは全く無問題。

7月2日(木)晴れ
大学時代のノリで楽しい。
ヘルペスの薬忘れて絶望。
英語勉強したい。
カレーと味噌汁が美味い。

7月11日(土)晴れ
十日ぶりの御来光。
中国人御家族事件。
オジキと初の別館担当で大変だった。
フェリー予約終了。
あと二週間。

7月15日(木)
初の山頂、お鉢巡り、葉書購入。
あと九日。

7月20日(月)晴れ
御手洗さん加入。
初の影富士。

7月24日(金)晴れ
今後の生き方に悩む。
あと一日。

7月26日(日)天晴れ
退職。
人生初の富士御来光登山。
下山。
海外ツーリングフェスタ見学。
東京で頑張ってる地元の友人と飲む。

【まとめ】
今からどうすっか~て考えながら世話してくれた先輩の家のじゃがの収穫手伝いながら偶然見付けて半分勢いで応募した富士山ホテルの求人。
そもそも今年2月に知り合いに九重登山に誘われなかったら調べることもなかった。
自分が想像した以上に経歴キャラクター変わった人ばかりで、A班の皆はほんとアホなノリで最高に楽しかった。
そして自分の中の世界が更に広くなってしまった。色んな生き方がある。

『改めて、お世話になった皆さんへ』
ご無沙汰してます。
ツーリングから帰ってからスポーツ・アウトドアショップへアルバイト勤務後、何だかんだで普通の会社でサラリーマンをやることになりました。
色々迷いましたが、一応希望通りの道を選んでます。

富士山ホテルでの一ヶ月間も含めて日本一周ツーリングです。

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