2022.8.3 22:20
就寝前、ベッドにて。
ここ1ヶ月、国際輸送代行業社に手当たり次第コンタクトを取っては、玉砕するというのを繰り返している。
理由としては、やはり海外をセローで走るのを諦め切れていないため。
同志の額賀さんとテネレの写真を見て、刺激を受けてしまった。
そしてもう一つは、納得する形で諦めるため。
輸送費は100万前後と聞いた時、「あーこりゃいよいよだな」とは思ってすぐにバイバックに切り替えようとした。
だがそれは他人が努力の末手にした情報であり、自分で必死こいて困難な過程を経て至ったものではない。そんな情報で自身の行く末を決定付けては、あとで納得のいくものとならないかもしれない。
だから、納得して完全に綺麗に「やっぱり無理やったわー」と堂々と言うために改めて泥臭い情報収集に着手した。
この作業には、恐ろしいほどのエネルギーを使う。
ダメと、不可能と分かっていながらも体当たりし当然の如く玉砕する。それを繰り返す。
ただでさえ門戸の狭い業界だ。数が少ないので数打ちゃ当たるも通用しない。
どの輸送会社も決まって言うのは「コンテナ不足で個人の貨物を受け入れる余裕はとてもない」ということ。そりゃそうだ。
10数社ほど声を掛けた結果、三社ほどいい具合の協力的な態度を示してくれた。
その中の一つが具体的な答えを昨日出してくれた。
結果、英国向けで約100万円。
バイク一台送るのに、約100万円。
何かに酔っ払ったふりして払うのも難しい金額。庶民の私には難題となった。
バイクは危険物ということで、輸送時の保険にも入れないのが大半だ。
そのため、最悪金だけ払って貨物の紛失や貨物船炎上等もあり得る。
それはつまり、それだけのリスクを背負って額賀さんは博打をしたということになる。すげーや。
「俺の拘りはどこにある」
ここ数日、仕事中も飯食いながらもクソしてる時も寝る前もずっと考えていることだ。
何処にあるかなんて知っているつもりだった。しっかりとした言葉で言語化だってできているはずだった。
しかしいざ改めて内面と向き合うと、揺らぐ。
俺の拘りは何処にある。
外の世界への知的好奇心か。
純粋に走り回りたいのか。
人との出会いか。
何処までも行けると証明したいのか。
冒険への憧れか。
今気付いたのだが、やはり、青春小説で見るような主人公のように自分の旅を演出したいのだろう。
その形として理想だったのが、日本から相棒と共に船で外の世界へ渡り、ひた走り様々な出会いを経て、数年後何も告げずに静かに故郷に帰る。
それが最も理想の旅であり、自身を旅人たらしめる演出だったのだろう。
だから今でもこうして不可能に近いと分かっていながらも泥臭く足掻いている。
この理想を、別の展開、例えば自転車やバイバック、レンタルバイクで再現または全く新しい物語として演出できたら、やっと拘りから解放されるのだろうが。
結局は、心に従う他にない。
あまりにも変容な私の心に。