ただの男がバイクで世界一周を叶えるまでの記録。

高校生からの夢、バイクで世界一周を叶えるまでの記録をまとめたブログ。旅の理由、決断に至るまで、お金のこと、旅の準備、旅の様子など、考えうる全てを後に続くライダーのために残したいと思っています。

【Day136 Uyuni】ウユニの塩より濃い漢

f:id:fasasabi:20230408221552j:image

 

4月5日(水)晴れ 寒い

17:01 ホステル食堂

夕方。美味い昼飯の後には机と椅子のある立派な部屋で紅茶飲み飲み静かに作業。一切金にならん作業。幸せを感じる。

物を好きに書ける環境に、好きな温かい飲み物、そして落ち着いた雰囲気。実に贅沢だ。人の幸せに大きく関わる事だと思う。

 


今朝は7時起床。眠いが作業しねーとと、廊下のソファに腰掛けると、「あっち使いなよ!」とお手伝いのおばちゃんが声掛けてくれた。

着いて行ったら食堂。マジか。朝食付きだったようだ。飯付きて…。日本の宿でも滅多に無いぞ俺…。

 


白いカーテン越しの柔らかな朝日を背中に浴び、体が徐々に目覚めていくのを感じながらコーヒーとパンを頂く。何とも人間らしい…幸福な…。

野営旅をしていた自分を忘れそうになっていたら、Tさんも起きてきてご挨拶。

そしたら初顔合わせのアキさんもやって来て、3人でまた会話が楽しく盛り上がった。

f:id:fasasabi:20230407014718j:image

「人の生活やん」
f:id:fasasabi:20230407014710j:image
f:id:fasasabi:20230407014714j:image

日本語愉しい。

 


Tさんは朝からここを去るため、固い握手をして日本での再会を約束した。

 


アキさんもチェックアウトだが、夜行バスの出発時間まで特に予定もないため食堂でそのまま作業しながら二人で熱く語り合うこととなった。

 


13時から昼飯に彼オススメの地元の食堂に行って、初のリャマ肉や念願のサラダバーも楽しんだのだが、そこでも居酒屋宜しく熱い話は続き、気付いたらもう夕方だった。

 


今、その彼は目の前で連日の睡眠不足の体に鞭打ちながら黙々と作業している。

その本人を前に、今から彼について記録するのだが、そう、とにかく熱い男だった。

声がデカく暑苦しいというのではない。静かに、芯の熱い男なのだ。

それは彼の丁寧で落ち着いた話し方にも如実に表れている。

本当に半日くらい長時間最高のキャッチボールを続け切ったため、一体何を記録するべきか迷うほど。

こっちの全力の球を真正面から受け止めて、それ以上の球をストレートど真ん中で投げ返してくれる。

こんな気持ちの良いやり取りは久々だった。

とにかくアンテナの合う男だった。

 


生まれは韓国。ご両親の都合もあり小6までは中国で過ごす。

そしてまた中学高校の青春時代を韓国で過ごし、これからを見据え日本の国際大学へ。

韓国人としての兵役も終え、また様々な決断の連続の末今に至る。

ほんとざっくり書いたし本人もかなり省略されて話してくれたのだろうが、その人生には並々ならぬ心の動きと、想像も及ばんような大きな決断があった。

俺は、こういう人生を歩む人に出会ったのは初めてだった。

 


彼とは旅の価値観についても意気投合した。

俺の、「呪いを終わらせる旅」という何とも言い訳くさい話にも真剣に耳を傾けてくれた。

彼が腑を見せてくれたため俺も同じ熱量で今に至るまでの人生を話したが、生き方を格好いいと、旅に懸ける想いでは今まで会った人の中で一番だと言ってくれた。まいったぜ…。

 


また、普通の人生ではない彼こそが得た価値観、抱えていた孤独や葛藤が実に興味深かった。

 


彼は今回は三週間の行程のため、旅というほど今回は旅ではないと言っていたが、俺にとっては今に至る彼の人生そのものが紛う事なき旅だった。人に歴史あり。これほど面白いものはない。

 


全部会話録音してりゃよかった。それくらい、彼が選んで話す言葉は俺共感と納得を呼び、新しい気づきを与えてくれた。

彼にも言ったが、誰しもが口にできない言葉として引き出せない気持ちを素直に相手に伝えられるのが、彼の魅力だろう。

これで日本語自体は彼にとって第二第三言語ってんだから、俺らはもっと日本語勉強しねーとなって…。

 


全てが終わってからの新しい目標ができた。

彼のルーツのある韓国に行こう。今度は旅のセンスのかけらもない大人達に束縛された高校3年男子としてではなく、大人として自由に。何ならセローとフェリーで行けんこともない。楽しくなってきたぜ。

俺は俺の人生に関わりのある土地に行くのが好きなんだ。

 


20:45 ホステル食堂

アキさんとお別れした。お互い元気で、必ずまた会おうって。堂々とハグできるあたりが素敵だなと素直に思う。男同士でも必要な儀式だぜ。

 


晩飯は昼飯にも行った食堂へ。

今度はアキさんが食ってたリャマの背中を。サラダバーもおかわりして葉っぱもしゃもしゃ食って22ボリ(415円)。

 


別れる前、最後にアキさん思い出の国のお話を聞かせてもらった。リトビア、ポーランドが出てくるのがすげーよな。

それを聞いて、ユーラシア大陸横断を当たり前に夢見ていた頃の自分を思い出してしまった。

どうなんだろ。俺は心残りのまま、また歳を取って行くのだろうか。

 


でも、一つわかったことがある。

たとえまた呪いとなろうが、俺はその呪いを糧にして手に入れた平穏を守ることができると思う。

そのくらいには、今の俺は強くなったと思う。根拠はねーけど、ハッタリかませるなら上等だ。

 


彼に出会って得られたのかもしれん。

別れ際、20代最後の旅の終盤でのこの出会いはとても特別なものになったと、彼は言ってくれた。

 


俺もだ。

俺は熱い人が大好きだ。素直にかっこいいからだ。そんな男と最高のキャッチボールができた。

 


まーだまだ頑張らねーと。

今日は素晴らしい一日となった。

f:id:fasasabi:20230407014959j:image

アキさんが持ってた素敵な本。これ帰ったら試してみよ!たぶん紙質も悪くないからお絵描きもそこそこできるのでは。
f:id:fasasabi:20230407014951j:image

ボリビアでも全開バリバリのアサード。通りで焼いてるから匂いに釣られるのだ。
f:id:fasasabi:20230407014943j:image

何とサラダバーが無料。チリでもアルゼンチンでも高くて食えてなかったから、これでもかとモシャモシャ貪った。
f:id:fasasabi:20230407014922j:image
f:id:fasasabi:20230407014927j:image

彼はリャマの背中の中。骨付きでワイルドだぜ。
f:id:fasasabi:20230407014931j:image

肉米ポテト!ボリビア大衆食堂の男飯具合が俺とマッチしている…。
f:id:fasasabi:20230407014947j:image

宿帰ったらまさかの再会。なんだろ、彼女めちゃくちゃIf you wantと言ってくるんだが、ロシアの国民性なのか?何度も断る身にもなってくれー!いや俺がもうちょっとバシッと断らんばいけんのか…。
f:id:fasasabi:20230407014935j:image

ん!?と二度見したらまさかの俺の愛用するメイドインジャパンジーンズ。そしたらアキさんのだった。おもろ!聞いてみると、俺にそっくりな友人にジーンズについて熱く語られ、次第に洗脳されて二万円出して本場岡山で買ったらしい。まだまだ綺麗だったから、これからだぜ!
f:id:fasasabi:20230407014917j:image

もうちっと時間もあればカッコよく撮りたかったのだが…すんません。いや十分カッコいいっすけどね。またお会いしましょう。
f:id:fasasabi:20230407014955j:image

亡者のようにふらふらとまた同じ店へ…。
f:id:fasasabi:20230407014939j:image

写真の10倍は美味いと断言しよう。

 

 

金 宿1300 昼飯470 晩飯420 コキータ110