1月27日(金)晴れ時々雨
23:21 グレゴレス野営地
8時起床。隣人のポールがコーヒーを作ってくれたので、朝から二人で飲みながら色々話していた。両替所について彼に聞くと、有力な情報をいただくことができた。どうやらグレゴレスの郵便局の中にWestern Unionがあるらしく、彼はそこでここに来る前にユーロを両替したらしい。チリペソが可能かわからんが、明日朝一行ってみる。
柳からラジオの件で返事が来ていたので、折角だし電話した。
3月から船は出港らしい。多少古いしきたりもあるが、なんとかやれそうだと。決断するのも大変だったろうな。彼にも言ったが、やってられなくなったらまたその時考えればいい。大体取り越し苦労なのさ。
ポールを見送って、ラウルや他の旅人に挨拶してからキャンプ場を後にした。
過去の日本人利用者に倣って俺も日本語で。翻訳してくれと昨日のお姉さんに頼んでいたが、そりゃ無理よと笑われてた。だよな、ハハ。
野良犬と戯れるseñora。
ポールはテネレ700乗り。どのアドベンチャーバイク、オフ車が最適か考えながら走っているが、額賀さんへの贔屓目無しに今のところテネレ700。パワー、車重、積載、巡航能力全てがバランスがいい。少なくとも俺の感覚ではリッターバイクは必要ない。そしてセロー250はやはり小さいとは思うが、この後訪れる地獄のオフロードなどでは大型バイクに対し無双できるとも感じた。
アルゼンチン国旗は爽やかで好きだ。
オイル交換のためにバイク屋に行くと16時半から開店。昨日行ってりゃ良かった。アホ。
他のとこに行くと、車専門のオイル屋だった。しかし相談していると、店長さんだろうか、色黒の兄さんが他所にオイルを買いに行って工場で交換してあげると言ってくれた。素直に甘えることにした。
彼が戻って来るのを待っている間、もう一人の店員さんとお互い下手な英語で色々話した。
あのチリやアルゼンチンの人たちがいつも片手に持っている物は、マテ茶らしい。なんかマリファナであんな吸い方があるものとでも思っとったわ。失礼しました。
紅茶などと違って、家族や友人などの親しい人たちと回し飲みする文化があるらしい。カップも様々なデザインや装飾があって非常に興味深いと彼に伝えたら嬉しそうにしていた。現地の文化は現地の人に聞くものだな。お土産に買って帰りたいくらいだ。一口飲ませてもらったが、マテ茶の香りが鼻をすーっと抜けてすごく美味しかった。
他にもアニメの話などもした。アルゼンチンの人々の多くは当たり前に日本のアニメを嗜んでいるらしい。確かにミゲルもそうだった。
そしてアニメを通じて日本の文化を学ぶらしい。と言っても、彼はBLEACHやDRAGON BALLが好きだと言っていたが、何の作品から学んだのだろう。ちなみに広島・長崎原爆についてもアニメで先に知ったとか。あ、そういやUS出身の女性に長崎出身であることを伝える時に、広島と並べて教えたがあれは良くなかったな…。今度からは他の表現で伝えよう。出島とか…?
彼の手元にあるのがマテ茶。折角だし俺も嗜みながら旅したいが、バイク旅だと絶対管理が大変だよなぁ。
彼が戻って来たためお留守番の彼に別れを告げて工場へ着いて行った。
30分くらいで作業完了。代金は2,500ペソ。2,100円くらい。わざわざ仕事中にオイルを買いに行ってくれて、彼の工場を使わせてもらって作業までしてもらったのに安すぎる。
念のために2L買っておいたオイルが1L余ったので予備に持っておくよとお金を払おうとしたら、「旅のお守りに」と翻訳されたスマホの画面を見せてくれた。交換してもらえただけでも御の字のため流石に悪いと思い一度は引き下がったが、彼の好意を無駄にしたくないため受け取った。
彼の名はAndres(アンドレス)。彼自身もバイクに乗っており、自転車までこなす生粋のライダーだ。同じライダーとしてのよしみだろうか。とても嬉しい。
これからウシュアイアを目指すと伝えると、「風に気を付けてくれ」と言ってくれたその矢先、面に出したバイクが風に煽られ倒れてしまった。ソッコーで2人で起こしたらエンジンも始動して何事もないようだ。やれやれ。
彼とインスタを交換して、彼に精一杯の感謝を伝えて別れた。
別れ際、「良い旅を」と日本語で言って見送ってくれた。俺も「Buen Viaje」とスペイン語で返した。最初はやらかしたと思ったのに、結果的に良い出会いになった。本当にありがとう。この御恩は一生忘れません。
丁寧に作業をしてくれたアンドレス。彼と写真を撮り忘れたのが心残り。せめてインスタ交換できてよかった。
心強いお守りになっているよ。ありがとうアンドレス。
そして12時半からR40を南下し始め、今の街に着いたのは21時。20歳の時にムロミズんちまで9時発の21時着になった初めてのロングツーリングを思い出したぜ…。あの時も延々とスティードと走り続けていた。
初めのうちは大平原、正にパタゴニアの姿に感動したが、数時間も経つと飽きてしまった。野生のリャマに興奮したのも一瞬だったな。あいつら長崎バイオパークで見た姿まんまだったな。車の接近に気づいてぼーっと見てきて急にハッとして逃げ出すんだもんな。一頭道路の真ん中で寝てる奴もいたし、賢くはなさそうだ。しかし柵を身軽に飛び越える姿には驚いた。礫死体や白骨も何度か見た。
他には道中にはピンクの地層や、西部劇で見るようなタンプルウィード、ダチョウみたいな鳥など色々見かけた。
そして最後に風。
もうとにかく風に翻弄される大地なのだと知った。爆風が向かいから1時間は吹き続けたと思ったら、ピタッと止んで不気味なほどの静寂が訪れることが何度かあった。いつ何処からどんな風が吹いて来るかわからないため、気軽にバイクを止めることもままならなかった。
これが本物のパタゴニアの風なのだろう。こんな中をチャリやリヤかーで…。しかも街から街まで400kmだぞ。
街のガソスタで満タンにして、併設の喫茶でホットサンド食って1,400円。ガソリン安くなったか?サンドもばり美味かった。
んで食い足りんし今日はエネルギー使ったから野営地で米炊いて魚丼。
今日はよう頑張った…。ねよう。明日は両替してカラファテへ350kmだ…。
この後飽きるほど見かける奴ら。後で知ったが食えるらしい。
動物注意の標識。アルゼンチンはチリよりシルエットがはっきりしている。
遠くから見たら肉が横たわっているような色だった。何度目かの「なんでこがん色になると?」
遠くに岩山が見える。それ以外は真っ平。
途中の集落のガソスタ。旅人達のステッカー好きは異常。
初めて予備タンクを使った。入れて2ヶ月経つし、新鮮なガソリンに入れ替える意味も兼ねて、ね。
足元に目をやると風に吹かれるタンポポ。野に咲く花のようにってか。
買ってて良かったエネルギーバー。とにかく走らなければならない時にはありがたい存在。
久々に走りながら日没を見る。
何気なく買ったがめちゃ美味かった。アルゼンチンは料理のレベルが高いのか?
久々の焚き火。夜にやると明かりで位置がバレるから少しヒヤヒヤ。
走行距離 420km
金 ガス1,000 夕食400