2022年7月7日
今日、同志である額賀龍平が旅立った。
伝えたい言葉は手紙で伝えた。
「次に会うのはお互いの旅の終わりに」と約束し、「次に言葉を交わすのも、その時に」と伝えた。
だから、彼の進捗状況をネット上で見ないためにTwitterもFacebookもミュートした。
LINEは…グループラインがあるから抜けるのはなぁ…。メタボンさんとはるかさんはわかってくれるだろうか。
彼には主人公になってもらうことにした。
額賀龍平旅物語の、主人公に。
旅の終わりに、一つずつ聞きたいのだ。物語の主人公が、自身の旅を振り返る姿を眺めながら。
そんな昔気質な、懐古な時間も、私達なら許されるのではないかと思ったためだ。
それだけの魅力を、熱さを持つ男だ。
捧げたものがダンチなのだ。
愛する人も、食っていける仕事も穏やかな生活も持っている男が、一度それらを天秤に掛け、結果捧げて今の道を選んだ。
とんでもないことなのだ。私にとって、それは。
この数年間で、私は好きな人と暮らす普通の人生の素晴らしさを、真に理解しつつある。旅を決心するまでは知らなかった気持ちだ。たぶん、師匠との出会いによるものだろう。
よりにもよってそれを、準備期間中に知ってしまい、今現在苦しい思いをしている。
だからこそ思う。
額賀龍平という男が、一体どれだけの力を振り絞って振り絞って振り絞って、今の生き方を選んだのか。
普通に、安定を保ち生きられたのに、どうして。
とんでもない、本人にしか到底わからないほどの途方も無い葛藤と決断が幾度となくあったはずなのだ。
その末の、今なのだ。
想像できるか?いや、できるわけがない。
だから私は、額賀龍平という男を尊敬し、負けたくないとも思っている。
彼に親しみを込めて「ゆうしろう」と下の名前で呼ばれた時は、それは嬉しかった。
クールな装いに反し、熱い男なのだ。
そんな男が今日、旅立った。
今日もいつも通り私が仕事をしている中、確かに彼は旅立った。
当たり前の日常の中で、色んな物を振り切り背負い、一人搭乗口から異国の地へ向かった男が、確かにいたのだ。
その事実に直面し、私は自分でも知らなかった心持ちを今味わっている。
今この瞬間も、彼は彼の旅を始めている。
ゲームでも映画の話でもなく、紛れもない事実なのだ。
伝えることは伝えた。
あとはお互いの旅の終わりに。
今はそれが、楽しみで仕方がない。
そんな時間が本当に訪れるのならば、何とも面白いものだと心から思う。
先を越されてしまったが、俺も負けねえよ。