本当に欲しいものは、その道の途中にある - ただの男がバイクで世界一周を叶えるまでの記録。

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2020年10月31日。

私にとって特別なこの日を、私は師匠の家でのBBQに招かれ楽しく過ごした。

「あと一年・・・あと一年でこの期間工生活ともおさらばできる」

そう思いながら10月を過ごしてきた。

本来はあと半年で終わるはずだったのだが、コロナにより出発は延期。そのため同時に期間工生活も期間満了である2021年10月末まで延びることになった。

長かった・・・。

こんなセリフは来年のその時にこそ絞り出すべきなのだが、今でも口から出てしまうくらいにこの生活は・・・長い。

日本一周の軍事金稼ぎにと気紛れで行った富士山ホテルので山小屋一か月間生活も中々きつかったが、あれはお釣りがくるくらいに楽しみも特別さもあった。

だが今は・・・。

そんな感覚で、今まで2年生活してきた。

「やっと解放される・・・」

ひとりそう思いながら、師匠んちのBBQでキッズ達と戯れ美味い飯も食わせてもらい、楽しい時間を静かに過ごしていると

「こういう時間も、あと一年か」

同時にそういう思いにも駆られた。

私が精神的にも肉体的にも健康で、目標を忘れず今の生活を続けられているのは間違いなく師匠との出会いがあり、こういう時間を与えて貰っているからだ。

クソッタレと思いつつも、何だかんだ楽しいと感じることも多いのだ。

それもあと一年。

複雑な心境である。

まだまだメンテも教えてもらいたいし、キャンプもしてえしキッズ達のデカくなるところも見たい。

気付いたら、完全にこの街が好きになっていた。

好きな漫画のセリフで「大切なものは、欲しいものより先に来た」というセリフがあるが、私は今まさしくその言葉を理解しようとしている。

師匠んちとの時間だけじゃない。

家族や友達との何気ないやり取りとか、自分で作った飯が上手かったり、勉強を続ける英語の成長を実感できた時とか、そんな時にも同じような心持になることがある。

数年後、納得して日本に帰ってから、私はどのような答えを出すのだろうか。

今と同じ心境にあるのだろうか。

その答えへの興味もまた、私が旅に出る理由の一つになりつつある。

大切なものを大切なものと認識できるように、これからもこの生活を続けて行こうと思うのであった。

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