ただの男がバイクで世界一周を叶えるまでの記録。

高校生からの夢、バイクで世界一周を叶えるまでの記録をまとめたブログ。旅の理由、決断に至るまで、お金のこと、旅の準備、旅の様子など、考えうる全てを後に続くライダーのために残したいと思っています。

【Day244 Newell County〜Banff】浪漫へ

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7月23日(日)晴れ MAX36℃

 

21:38 バンフ20km手前R1外れ山中野営地
5時起床。夜中風が唸りペグダウンをサボった(つってもガス管走ってるとか看板あったからそんな全部は刺せない)俺は久々風に恐怖した。


日の出よりも少し早起きだったようで、前室を開けて東の化石の眠る岩山から昇る朝日をじっくりと眺めることができた。
まさに悠久の時だ。幾億の年月を、ここに眠るかつての恐竜たちはこうして過ごしてきたのだろう。ロマンだな。この事実を自分の五感で気付くことができて良かった。

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この地に眠る恐竜たちは、まだまだ数え切れないほどの日の出を迎えるのだろう。

 

 

 

6時出発。ドラムヘラーまでの170kmを博物館開館の9時までに走らなければならないのだが、謎の眠気に何度も襲われて着いたのはギリギリ9時前。自分でも把握していない疲れが溜まっているのだろうか。バイクで走っている時にこんな眠気は初めてで、なんか異常な感じだ。とにかくたっぷり寝ないとな。

そして今朝もプレーリードッグだ大量に現れて笑わせてもらった。あいつら等間隔にポケモントレーナーみたいに道端に立っていて、俺に気付くとスクっと背筋伸ばすから面白い。

また、ほぼ全員東を向いて立っているんだよな。暗い巣穴暮らしだから朝日を浴びるのが日課になっているとか?可愛い奴らだ。

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ロイヤルティレルまではこうやって丁寧に看板が設置されてある。
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この日の朝も長閑な牧場地帯を走り抜けた。

 

 

 

9時入場のチケットを購入していたためスムーズに入館。つっても日曜日でも朝一はガラガラなようで、自分のペースでゆっくり見て回ることができた。
展示は言うまでもなくどれも凄かった。何が凄いってのは専門家じゃないため気の利いたことは言えないが、とにかくその演出!!組み合わせる寸前のT-REXの頭骨をそのまま見せてくれたり(これにより、より立体的に骨の構造を理解できる)、俺も子供の頃から図鑑で世話になっていた有名な恐竜画家のイラストを復元骨格で再現していたりと、初めてみるニクい演出、展示方法がたくさんで興奮した!!


中でも一番印象に残ったのは、地中に眠るアルバータサウルスの全身骨格だろうか。レプリカと本物を組み合わせたものだろうが、 あれには目を惹かれた…。またあのポーズを取らせるデザイナーのセンスよな。あんなんが家の壁の一面にあったら毎日悠久の時に想いを馳せることができて最高なのに。

 

あ、トリケラトプス拳もやった。苦節何年だ?大学の頃からやってるから10年?初めては熊本での恐竜博だったような。それを32になって、世界一の恐竜博物館で。

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初っ端彼らがお出迎え。
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モンハンの武器やん。
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日記に書いたのはコレ。アイデアが凄い。
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大昔の人はこれらを見つけてドラゴンを想像したのだろうなと思わずにはいられない頭骨。
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いい言葉だ。
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これには目が釘付け、開いた口が塞がらなかった。俺たちの想像力を掻き立てる。
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美しすぎるアンモナイト。
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発掘家たちの道具。
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化石のクリーニングを研究員の方々目の前で。映画のワンシーンのようでクッソかっこよかった。子供達が見たら何を想うんだろう…。
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クリーニング室はここから覗ける。ゲームや映画で見たような設備と、まだ完全には顕にはなっていない化石が横たわっていた。どれも本物である。
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この解説イラストも素敵だ。
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この子はこの前まで東京の恐竜博にいなかったか…?と思って調べたら同じ鎧龍のズールだった。彼は頭から尻尾の先まで化石が揃っているということで有名で、ロイヤルオンタリオ博物館から東京に来てくれたそうだ。ロイヤルティレルのこの子はミイラ化石として2011年にここアルバータで発掘され話題となった。
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ここにもショットグラス。集めたいんだけど絶対壊すからなあ。
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だそうです。フタバススギリュウを発見した鈴木さんもこうやって連絡したのかもしれない。
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可愛くて笑った。
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お馴染みのアレ。これから物語を広げたスピルバーグは紛れもなく天才であり、ロマンを愛する男なのだと思う。
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壁紙のイラストに注目。
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これだけのピースを組み合わせる学者さん達。血の滲むような知識と努力と肉体が必要だろう。
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この展示も良かった。この種は図鑑でもよくこのように立ち絵で描かれることが多いが、博物館の展示ではあまりその姿を今まで見たことがなかった。多分今回が初めてだ。ハッとした恐竜好きも多いのではないだろうか。
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逆光でシルエットだけ浮かんでるのがいい味出している。詳しくは『範馬刃牙』のピクル篇、刃牙vsピクルを読んで欲しい。今度アニメにもなるからタイムリーなネタでもあった。
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真面目に撮影。どうやってこんなロマンの塊のようなフォルムへの進化を選んだのだろう。創造主がいるのなら、案外俺たちと美味い酒を飲み交わせるような奴なのかもしれない。
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お馴染みのコイツ。博物館はT-REXの全身骨格を如何にカッコよく展示されてあるかで訪れる価値があるかどうか決まると言っても過言ではない。
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このアングルは福井県立恐竜博物館でも見覚えがある。これから食われる獲物の視点かも。
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でっかい鏡も福井にあったな。同じようにこうして写真撮った覚え。
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マンモスもまたロマンの塊。
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エントランスに戻るとすっかり混雑。
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エントランスゲートにて。マジでロイヤルティレルに来たんだな、俺。
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最後にドラムヘラーの街を見て帰った。至る所に恐竜がいる街。二枚目のT-REX君は世界一でかいらしい。

 

 

 

12時にロイヤルティレルを出て15時にカルガリーのCostcoへ。
しかしここでもWi-Fi使えず。カナダケチ腐れがこんちくしょう。試しに注文したフライドポテトにチーズとか乗ったのが死ぬほど多くて腹がはち切れそうだった。相変わらずコーラも気抜け腑抜けで、もう炭酸のあるコーラの味忘れた。

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食いすぎやろ明らかに。
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ガソスタで偶然気付いた。ミーコとコムギからのメッセージかもしれん。早く会いてえ。

 

 

 

 

近くのWalmartでジャンプダウンロードしてから再び西に走りバンフを目指したが、20km手前の町の入り口の森の中で野営することにした。

如何にも茂みから熊が現れそうな雰囲気のため、熊スプレーも肌身離さず、食糧も野営地からこれまでよりもさらに遠くに吊るした。

小さな渓流があるため、クソ冷たいの我慢しながら洗えるとこを洗った。特にケツと○○。マジで綺麗にしとかんとあとが怖い。頭は明朝日が出てから洗おう。

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Walmartのエコバッグにまとめて入れてる。匂いの強い石鹸や歯磨き粉も。
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カナダに来てから、蚊取り線香を焚いて先にテントに入れて煙充満させ、荷物を中に投げ込み自分も最後に中にダイブしてソッコー入り口を閉じるというのをやるようになった。そのためグランドキャニオンの土産屋で買ったライターが思わぬ活躍をし、段々と愛着が湧いてきている。
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哀しげに風に揺れる『世界一』の文字。ドコモショップの先輩方は元気だろうか。『世界一周』でなく『世界一』なのが最高にセンスが光っている。どんなやり取りでこれを選んでくれたのかはそう言えば聞いていなかった。帰ったら報告がてら聞いてみよう。ちなみにめちゃくちゃ快適で本当に旅を支えてくれてます、ありがとうございます。気に入ったので追加で同じの二着買い足しました。
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Twitter(今度Xという名前に変わるとか何とか)の同志が旅立つ前にお役立ちアイテムを知りたいというのでこれらを伝えた。パナレーサーのチャリ用空気入れにエーモンのペンシル型エアゲージは無くてはならない道具だ。スノーピークの先割れスプーンももはや相棒と言っていい。S字フックは日本から持ち込むの忘れて後悔していたが、旅の終盤にして水野家から支給していただいた。

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このあと素っ裸なって急いで各所を洗った。
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蚊も少ないためふざける余裕があった。こんなでも熊は怖いためしっかり熊スプレーは肌身離さず。

 

 

 

さて、今日は走りながら考えていた。俺は南米北米で本当に終われるのだろうかということを。

西に沈む眼前の夕陽と、アラスカがもう手に届く場所まで来ていて旅の終わりを感じているからだろう。


不思議だった。アクセルを捻る手が、今日は少し緩くなった。福岡を去る時のような、あんな感じ。終わらせたくないのだろうか。終われば次の人生の決断が待っているからだろうか。
どこで生きるのか、どう生きるのか、どう死ぬのか。長い目短い目で見て、また大きな決断をしなければならない。

 

額賀さんはこの前の7月7日で旅1周年を迎えた。そんな姿を見て俺は、今と同じような気持ちにもなった。羨ましいのか?いや、違う。じゃあ何だろう。

 

ああ、そうだ。本当にこの度で全ての納得を得られるのか。それがたまに怖くなるんだ。

もっと旅をしたいとかじゃない。今まで捧げてきた全てに見合う何かを、俺が感じ取れるのか。それがたまに不安になってくる。
本当に俺にそれができるのか。感受性のあるフリをしているだけではないのか。
納得というのは、それほどに簡単に得られるものではないということも理解はしている。

 

また、2015年夏ワッツーのイベントで話したあのご老人のことも思い出した。あの人は何一つウソのない声で、「もう少し若ければ…」と、笑顔で、少し切なそうに俺に話してくれた。当時の俺は「何を言いますか、今からだって…」と言いかけたものだが、今ならあの人のあの表情も言葉も理解できる気がする。

たぶん、あの人はその嘗て抱いたそういう野望を諦めた代わりに、それに見合った何かに打ち込み、結果その野望だったものに負けないほどのモノを手に入れられたんじゃないか。
だから納得したような穏やかな表情と声で、ああ言われていたんじゃないだろうか。

だから俺も、もし残りのユーラシアやアフリカに一旦は行かないことを諦めというのならば、それに見合うモノを絶対に手に入れる覚悟をしなければならない。それだけは、一つの事実だ。

 

そしてそれはもう決まっている。家族との平穏だ。それを手に入れるのが、俺の次の長き旅となる。

 

ああ何だか、ちょっとだけ頭ん中整理できた気がする。どうやら俺はもう次の旅への心の準備を始めているようだ。
そしてそれはそれで、アラスカへの気持ちも変わらず胸に宿し、日に日に高まってきているようだ。
仕方ない、どっちも俺だ。


さて、もう23時だ。

今朝9時に高橋さんに電話したらゆなやんが出て、日本は0時だと聞かされた。早よ寝なさいと言ったら、今はもう夏休みだよと返された。
中3の夏休み。良いねえ!!あー帰りたくなる。
ってことで、これも俺だ。

 

 

デッドホースまであと8000kmくらい?自分で書いた数字のリアルさに、胸が躍る。

今日も素晴らしい一日だった。

 

 

走行距離 480km
金 ロイヤル・ティレル古生物学博物館2500 土産1500 Costco1100 ガソリン2000

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