ただの男がバイクで世界一周を叶えるまでの記録。

高校生からの夢、バイクで世界一周を叶えるまでの記録をまとめたブログ。旅の理由、決断に至るまで、お金のこと、旅の準備、旅の様子など、考えうる全てを後に続くライダーのために残したいと思っています。

【2日目?】洗礼と空旅の終わり

11月21日(火)ロサンゼルス国際空港

6:00 定刻通り到着。

羽田出発時背中合わせにお別れしていった太陽と、ロスで再会した。到着目前の機体の前方からブワッと音を出すかのように朝日が広がっていった。

飛行機を降りてからすぐに英語に包まれるが、とりあえず人の波に流されておく。

「US passport?」と職員さんが確認されていたが、あれはたぶんアメリカ国籍の方専用の案内だろう。

長蛇の列に並び40分、いよいよ入国審査。

まずはにこやかに大きな声で挨拶。

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怖い人じゃなけりゃいいなーとか情けない考えで待ってた。

 


「海外初めて?」「そうなんだよ。だから緊張している」「今回はどうしてロスへ?」「南米と北米をバイクで周遊するんだ。だからロスからボゴタボゴタからサンティアゴへ乗り継ぎがある」「そうか、グレートだな」

 

こんな感じで人生初のイミグレにしては上出来だったと感じた。

ところがポリスメンを呼ばれ別室へ連れていかれた。え?

 


部屋へ入ると一気に雰囲気がズシッと重くなった。

アクリルボードの向こうには巨躯の黒人、フランス映画に出てきそうなキレた目の白人と、いや怖えよ。

「Are you bitch?」と、黒人ポリスの怒気のこもった太い声が何度も部屋に響く。それらしいナリの女性が詰問をかれこれ20分は受けていたが、完全にうちの母親が居間で観ている海外ドラマの世界だ。

連行された理由は定かではないが、とりあえず少しでも印象を良くするため、背筋を伸ばして座り、TVに流れている映画を見ながらたまにニコッと笑っていた。

「Yushiro」と呼ばれ、対面で着席。そこからはあっけなく5分程度で解放された。

職業、結婚しているか、改めて目的は?、どうやって旅の資金を作ったかなどを聞かれた。詳しく人となりを聞いておく必要があったのだろうか。

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彼らはCBP。そりゃ国の防衛ラインだから厳しくするよな。

 


カートを押しながら到着ロビーへ。羽田と比べ結構荒れていて驚いた。

次便の手続き場所がわからずウロウロしていると、空港職員の黒人のパーマの兄ちゃんが本当に丁寧に笑顔で教えてくれた。これで少し、「あ、やって行ける」と思った。

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別室連れてかれてた分遅くなったから集団は既に居なくなってた。

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とりあえず自撮り。乗り継ぎ待ちの間にハリウッドは結果的に行かなくて正解だったと、この後痛感することになる。

 


少々手こずりつつも、アビアンカ航空の2便のチケットを発券できた。タッチパネルがイカれた発券機が普通に置いてあるのが海外なのか。

でかい預け入れ手荷物を預けて身軽になるため受付に向かうも、20時発の便の受付を9時にってのは流石に早すぎたようだ。ここでも、英語が聞き取れずポカンとしてたらわざわざカウンターから出てきて、「午後4時半以降に、今度は場所が変わるから向こうのカウンターに来てくれ」と丁寧に案内してもらえた。ムイチョ・グラシアス。

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この時点でボゴタサンティアゴの便も発券できて助かった。

 


16時まで身軽に動けないため、割り切って体力回復に努めほぼ寝ていた。カメラはジャケットの内側に隠し肩掛け紐も腕に巻き付け、バックパックは肩紐をもう片腕に巻き付けて寝た。この空港はどこのイスに移動しても寒く寝つけられないため、インナーダウン上下とカッパの下を履き、手の冷えも辛いためセーターを巻きつけて寝ていた。

でかい黒人のおっちゃんが隣にドスンと座ってきて、いきなりなにか早口で呟いて「うおーんおんおん」と泣くのを繰り返し始めた時はビビって立ち去ったが、動画見て一人で笑ってるだけだった。

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動く気力もないためイスから見えるとこだけ撮影。あの時計いくらだろ。このあと下高さんに生存報告の電話をした。

 

 


16時半になり再び受付へ。

手入力で打ってもらってやっと理解できた彼女の言葉は

 

「健康宣言書とチリ出国のチケットがなければ受け付けられません。国からの命令です」

 

は?うそだろ。きいてねーて。ここで、これかよ。領事館に何度も確認したはずだぞ。

落ち着きを失いそうになっていたら、隣の受付から日本語が聞こえてきた。全く同じことを突きつけられ困っていたところだった。アビアンカ航空側も隣同士で情報共有を始めたため、我々は一度引き下がって協力しようと結束した。

 


結果、1時間程度でクリア。

背に腹は変えられんため、13000円は捨て金にしてチリ→ブエノスアイレスのチケットを買いチリ出国の証とした。

健康宣言書なるものは、領事館から必要無くなったと言われていた宣誓供述書のことだった。おいおいどういうことやねん。

そして気付く。

暇やからと余裕こいてハリウッド観光なんて行ってたら終わってた。マジで。

 


打って変わって、出国審査は陽気な係官の兄ちゃんとニコニコやり取りして平和に終わり、手荷物検査も同様にクリア。だがロスのここは随分物々しい雰囲気で少し緊張した。

 


日本人仲間が間一髪のタイミングで奇跡的に現れてくれたから助かった、マジで。

Sさんと連絡先を交換し、サンティアゴ降りた後の宿も決めてないとのため、ホステルカサマッテまで行動を共にすることにした。

俺が飲料水機で飲もうとすると、「せっかくだからビールで乾杯して喉を潤そう」と、無茶苦茶うまいクラフトビールをご馳走してくださった。海外で、それっぽい感じに酒を飲む。初めての経験だった。苦難を乗り越えた後に同郷の仲間と飲むビールは死ぬほど美味かった…。

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単純に運がなかったのか、本当にそのような取り決めなのか…。ともかくこういったことが今後再び起きる覚悟はしておくべきだ。

 

 

20:10 ボゴタ行き出発

今回は三人席の真ん中。左に同じくらいの歳の女性。茶色がかった長髪に革ジャンの似合う、スペイン語を話すかっこいい女性だった。右隣には家族で来ているらしい、こちらもスペイン語を話すおばちゃん。

ビールの酔いと疲れのためか、飯とドリンクの時間以外はほとんど寝ていたので案外6時間はあっという間だった。だが、座席は相変わらずキツく、何度も尻の位置を変えていた。はるかさんはいつもキツイ思いしてるんだろうとか思った。タッパもあって太さもある巨躯の白濱さんくらいになると、もうエコノミーは無理だろうなとも思った。

起きてる時は名作『ボーン・アイデンティティー』を無音で観ていたのだが、ベッドシーンを映画館以外で他人と観るのは初めてで少し笑った。

たまに左隣のお姉さんと肩が密着したりして喜んでいた。

ロス行きの時もそうだったが、機内サービス時にちょっとだけ起こる隣の人への気遣いがなんだかホッとする。言葉通じないからこそ、さ。

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このお菓子美味かったな。ボーンシリーズ一作目の好きなとこは、メガネのスナイパーと静かに戦うとこ。

 

 


6:00(ボゴタ時間)エルドラド国際空港

定刻よりもちょい早到着で助かった。

ここが最後の鬼門。皆んなに仕切りに話し、一番怖いと言っていたトランジット1時間の区間だ。

Sさんは先に行かれたようだ。甘えてられんため、自力で頑張る。

掲示板を見て、あった!AV115を確認した。GATEは…と見てたら消えた。とりあえず先に進み、Connect~という案内表示を確認。乗り継ぎはこっちか。ある程度のとこで係官に「アビアンカ航空で乗り継ぎがある。こちらでいいかい?」と聞いて手荷物検査へ進む。

ここで手間取ってしまう。なんと髭剃りがバックパックに入っていた!しかもこれは秋田期間中、タクさんのゲストハウスとととに泊まってから失くしていたと思っていたミューレの髭剃りだ!奥の奥に隠れていた…。アホか。刃だけ棄てて本体は返してもらえた。てことは、俺は髭剃りを2個も持ってきているのか。

 


再び掲示板を確認。GATE34だな!!と独り言で確認し、よっしゃ見つけた!!間違いなくここだ!!列に並んで、Sさんと合流して無事に搭乗できた。

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航空券買うときに一番腹括った区間のため、自力でクリアできて嬉しかった。

 

 

こうして、色々ありながらも何とかチリへの到着を目前としている。

たまらないよな。もうすでに大冒険だよ。バイク乗ってからが俺の本番なのに。

今回は右の窓際。左右に3席づつの小さな機体のようだ。

さっきトイレ行ってパッチ脱いで帰ってきたとこ。席どいてもらう時はとりあえず「Sorry~Grasias」と伝えている。許してくれるだろ。気持ちが大事だ。

しかし今度は妙に暑く、喉が乾く。

窓からは時折南米のグレートな大地が見える。

さっきのはありゃ、絶対アマゾンだろ。とんでもない長さの泥の川が、とんでもない広さの森林を大きな蛇のように縫っていた…。

見たんだな、この目で。

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ボゴタの街。

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これ美味かったなー。お菓子はSさんが「お腹減るでしょ」と分けて下さった。

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泥の川。坪井さんの本で読んでイメージした川が見えた。

 

 


11:48(サンティアゴ時間スタート) サンティアゴ行き機内

景色がやべーよ。イカれてる。なんだこれ。ゲームや。OWの最果てのその先やん。

茶色の荒涼とした岩山がどこまでも広がっている。山頂部には残雪もちらほら。

雨水だろうか、黒や緑の溜池のようなものもいくつか見える。

あ、人の住処がある。途端に道も見えてきた。

どうやら谷間に緑が少しばかり存在し、その近くに住んでいるようだ。

ぐ…グレート。

尾根沿いに道が続いている。

アスファルトでもない、林道でもない道が。

額賀さんはあのような道を走っているのだろう。

死が間近に感じる。

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「ここを走んのか」という気持ちで眺めてた。

 

 

14:13  サンティアゴ行き機内

再び陸地が見えてきた。

長大な海岸線と荒涼とした大地。

現実は想像を容易く超えてくる。

美しいって、スペイン語でなんて言うんだ。

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Hermosa costa. Muy hermosa.

 

 

15:00 今回のフライト最後の入国審査。

いきなりスペイン語全開で来られてポカン。「スペイン語話せるか」に対して「俺は日本人だ」とか言っちまった。「英語少しは話せるよ」と伝えた。

「チリでの住所を教えてくれ」と聞かれたのは予想外だったが、まあしばらく住むわけだしHostel Casamatta の住所を伝えたら合格。ホッとした。これでもうチリだ。

 

 

16:34 アルテュロ・メリノ・ベニテス国際空港ターミナル内カフェ

チーズとサーモンとレタスを挟んだ熱々のクロワッサンにかぶりつき、冷えたコーラを一気に喉に流し込む。南米のフライトでカラッカラに渇いた体に染み渡る。

Sさんは三度目のATMに挑戦しに行った。

一人になるとよりわかる。ここは本当に海外なんだな。

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から元気だ。

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生き返った…。通りすがりのおっちゃんに「グレートなカメラだな!」と褒められた。

 

 

空港は小さいものの、ロスよりも圧倒的に清潔で、何より殺伐とした空気がない。たまーに視線を感じるだけだ。

2人でATMへ行くも何かうまく使えない。

気を取り直しSIMを探すも、ない。インフォに聞くと、どうやら中心街に行かないとないらしい。そんな国もあるんだな。

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ロスのピリついた雰囲気とは真逆だった。

 

羽田を出たのが21日13時。もう時間も6時間戻ったり何だりで一体どれだけ活動し続けているか自分でもわからない。

とにかく一旦休みたいためこのカフェに腰を下ろした。

日没までにホステルへ着きたいが、空港から21kmと割と離れている。

2人で作戦会議をし、とりあえず空港バス300円に乗り、最寄りの地下鉄へ乗ることにした。

頼もしいなSさんは。この時代に紙の本で地球の歩き方を携行してるんだぜ。俺も力にならないとな。

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紙の本はやはり便利だ。上手く使い分けたい。

 

日没は驚きの20時30分。

空港の窓からはギラついた日光がまだまだ元気に降り注いでいる。