記録しておくべき出来事がある。
時は少し遡り…
2022年4月2日。
私は伝説との邂逅を果たした。
当時の日記に、私はこう残している。
4月2日㈯晴れ 6℃〜14℃
23:42 青山さん自室にて。
物凄い夜だった。
坪井さん、かんいちさんと同時に同じ場で、旅の話をしていたのだ。あり得るか?こんなこと。
ただ思う。バイクを好きで居続けていて良かった。好きという気持ちに嘘をつかず素直に貫き続けていたら、こんなこともあるんだな。
坪井さんと釣りの話もできた。狙い通りパックロッドの素晴らしさもわかってもらえた。
今日手に入れた念願のミシュランロードマップも皆さん懐かしいと言われていた。
かんいちさんに、学生時代からファンであることも話せた。
かんいちさん達の旅に影響を受けているから、アナログ旅を貫く努力をすると宣言することもできた。
旅を志したきっかけも聞いてもらえた。
それを、「わかるよ」と言ってもらえてすげえ嬉しかった。
今の時代に珍しい旅人で、とてもリンクしたものを感じると坪井さんに言ってもらえた。嬉しかった。
ぶよお堂到着3分前に通行禁止違反でマイナス2点反則金6000円白バイにカモられたことさえ今はどうでも良くなった。
最高だった。
こんなこと、生きているうちに何度もあるかよ?俺は幸せ者だ。
青山さん、今回の企画を提案していただき本当にありがとうございました。
國本さんの○○や〇〇の話も面白かったなあ。ナビに頼らず地図だけで走りたいという俺の流儀に「挑戦してみる価値は大いにある」と真剣に言ってもらえたのは嬉しかった。今回のために大阪から足を運んでいただきありがとうございました。
田淵さんも釣りは大好きらしく、今度は坪井さんと3人で釣りトークもしたい。
いやぁ本当に楽しかった。
今は青山さんの自室で書いている。
風呂も貸していただき、夜食にラーメンまでいただいて世話になりすぎとる。先程まで奥様のチカさんも交えて旅の話をしていた。
青山さん、良い出会いに恵まれたんだなぁ。俺にもあるといいが。
今日は色んな方から励ましの言葉をいただいた。
坪井さんには『アマゾン漂流日記』の本もいただき、当時スピリッツの新人戦で一位にもなった漫画版も読ませてもらった。
別れ際、「また出発前に集まろう」と言っていただけた。
本当に嬉しい。バイク乗り続けて良かった。
期待に応えよう。
(原文ママ)
以上である。
振り返って思う。
孤独との戦いだった。
これはあとで振り返る世界バイクヤング組との集まりでも確信したことだ。
十代前半から抱いた世間には価値のない夢は、誰にも理解されないだろう孤独なものだった。
だからこそ、こうして世界に理解者がいて、実際にその人達に会えたときに救われる思いがあった。
涙が出るほど嬉しかった…救われた…。
伝説なのだ。
なにも大袈裟ではない。
かんいちさんの十万円日本一周から俺のストロングスタイルの旅は始まった。
かんいちさんを真似て公園の水道で痒い頭だって洗ったし、野宿だって挑戦した。
2015年夏のワッツー主催の海外ツーリング読本発売イベントで坪井さんに会ってなかったら、今でも海外を走る人達なんて金も持ってて才能もある多言語を操れる天上人なんて思っていたかもしれない。
あの時坪井さんに会って、「なんとかなるよ」とあの奇想天外な行動の人間には似つかわしくないフワッとした人柄の笑顔で言われていなければ、今ここにこうして生きちゃいない。
それくらい俺にとって、私にとってとんでもない人達なのだ。
あれから半年。
何か私は変わることができただろうか。
金が無いくせにバイクも買ってしまったが…。
だが、話したいことは沢山ある。
そして、この秋田での生活なくしては至れなかった旅人の境地も知れた自信がある。
また色んな質問をしたい。
あの時このとき、坪井さんたちは何を思ってどう歩を進めたのだろうか…。
何を振り切って決断したのだろうか。
その背中から振り切ったものを振り返ることもなく進んだのだろうか…。
当時の写真は残念ながら一枚だけ。
まあ、緊張と興奮でそれどころじゃなかったからな…。
いやほんととんでもないよ…この一枚に映ったメンツは…。
憧れるだけじゃ…だめだからな。
やっていこうぜ。