ただの男がバイクで世界一周を叶えるまでの記録。

高校生からの夢、バイクで世界一周を叶えるまでの記録をまとめたブログ。旅の理由、決断に至るまで、お金のこと、旅の準備、旅の様子など、考えうる全てを後に続くライダーのために残したいと思っています。

【BORN TO BE WILD】「長旅にイスは必要か」永遠かと思われた問題に決着が着きました



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https://eiga.com/movie/42360/

 

 

おはようございます、ゆうしろうです。

 

皆さん、イス、使ってますよね。

自宅で家族と団らんするとき。

冷えてきた朝にカフェで一人暖かいコーヒーで一服するとき。

職場でデスクワークに打ち込むとき。

陽光の下お気に入りの公園で読書するとき。

 

人間って、ある意味イスに支配されてるとも言えると思うんですよ。

言い換えると、イスに座るという行為が、我々人間を最低限度の文化的な生活を送ることができる生き物たらしめているとも言えると思うのです。

そんな重要な存在である『椅子(Chair)』を、より原始的生活に近付かざるを得ない海外での長期バイク旅に携行すべきか。

今回はそんな、旅人の間ではしばしば議論となる永遠の話題に、自分なりに決着をつけることが出来たので記録します。

 

 

結論

私には必要ない。

 

 

今までの私

初めてのキャンプツーリングの時点から、安物とは言えイスは常に携行し、これまでもほぼそれを欠かすことは無かった。イスとテーブル。これが最低限の装備だった。携行して積載物が増えることに関しても疑問を持つことも無かった。

 

疑問を持った切っ掛け

私の世界バイク旅の重要なテーマの一つである『軽量化』。積載物(食糧を除く)の総重量25㎏以下が目標である。この数値をたたき出すためには、少なくとも「あって便利なもの」は極力削る必要がある。

ここで注目したのが、今まで当然のように使っていたイスとテーブルなのである。

 

それでもイスは必要と思った


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テーブルは早々に削られた。地べたに置いても特に困らないからだ(何なら女クラで男子7人肩身の狭かった高校2年生時は教室の床に弁当広げて食っていた)。

反して、イスは、イスだけは必要だろうという思いは変わらなかった。上述したように、最低限度の文化的生活を保つために、どんなに汚れ腐って貧相な旅であっても、人間らしくあるために絶対に必要なものだと信じて疑わなかったからだ。

また、休憩時にイスに深く腰を下ろすことで効率の良い体力回復も図ることができるという、確かな経験から得た理屈もあった。

 

再び疑問は生まれた

2021年は野宿旅の年でもあった。今年だけでも随分と野宿の経験を積むことができ、軽量化の確かな手ごたえも感じられた。

それでもイスだけは携行していたのだが、イスを広げずに地面にドカッと腰を下ろしている自分に気づいた。

「あれ、イス要らんくね?」

再び疑問は生まれたが、それでも「最低限度の文化的生活」というワードは消えることは無かった。

 

天啓与えしは、洋画『イージーライダー』

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そんな考えは、3年間お世話になった福岡県行橋市の美容室『ジュリアン美容室』の店長さんである増田さんにお借りした、かの名作『イージーライダー』を齢30にして初めて観賞し、吹き飛ばされることとなった。

キャプテンアメリカとビリーは、地べたに寝そべって焚火を静かに囲んでいるのだ。

まず、かっこよかった。なんてワイルドなんだ、と。

考えて見りゃ当然だ。ヒッピーである彼らが、まして1960年代のアメリカでイスとテーブル積んで旅をするわけがない。携行できる便利な道具も限られたはずだ。娯楽としてのキャンプだってまだ存在しなかった時代だろう。

それでも彼らは、悠々と真のアメリカを求めて旅をしている。

「これじゃねえか」

一撃で答えは出た。なんでこんなことで悩んでいたのだろう?

今作を観た者には必ず印象的な場面となるであろうあの野営シーンが、私に答えを与えてくれた。

 

イスとテーブル無しで17日間野宿してみた

答えを確信と導く必要がある。ならば試すしかない。

結果、全く不自由しなかった。

以下が旅の前に想定した『イージーライダースタイル(たった今命名)』の強みと、その答え合わせの結果である。

・むしろ各地の地形・地質を感覚で楽しめ、記憶に残る

大げさに言うならば、地球に座り込むということ。介するのは肌着とジーンズのみ。イスと比べれば圧倒的にその土地を肌で感じられると言えるだろう。予想通り、「あの野宿地では地質が~で、やけん~して」と人に語ることができる。これこそ自然を体感したと言えるだろう。

・イス代わりとなる自然物を見つけた時の喜びが楽しい

手頃な流木、ケツの収まりが良い河原の石・・・。これらを野宿地で都合よく見つけられた時の、ワイルドな旅をしている感。まさにイージーライダー。ガキのままの感性を持っていて楽である。自然を文明の力で征服するのではなく、上手く付き合っている気がしてとても心地が良い。

・人間社会に戻った時の喜び

野宿地から町に出て、たまに贅沢として喫茶店に入る。その時、久々に、しかも良いイスに腰を下ろし、コーヒーを啜る。

最高である。自然から人間社会へ戻った際の振り幅が明らかに大きくなった。

時々与えられることで幸せを増幅させる。旅を成功させるための旅人の常とう手段であるが、これはまた特殊な物だろう。文化的な生活を思い出したければ、たまに贅沢してお店にコーヒーを飲みに行こう。

・一気に身軽になった

正直、イス一個削ったところで軽量化できるのは、容量だと約6L。重量だと500g程度だろう。

しかし、いざ携行しないで走り出すと本当に身軽に感じた。

まず、管理する必要がない。野宿地撤収時のパッキングのスピードが明らかに上がった。

そして、たった6Lと言えどそれだけスペースが空くだけで精神的な余裕が生まれた究極を言えば、この分だけ非常食を積めるかもしれないのだ。

また、イスを出さないことで野宿時早々にテント内に引きこもるようになった。そのことは、外敵(主に人間)から見つかる可能性を減らすことにつながり、何やかんやテントの外に出して失くしやすい小物の装備を紛失する可能性も減ることになる。


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全て想定した通りの結果を得られた。最高に上手くいった。

 

 

まとめ:BORN TO BE WILD

長々と語ってしまいました。

いやね、こんなことで本気で思考する人間はマイノリティもマイノリティですけどね。それでも、バイク旅で軽量化を目指そうとすると真剣な話題なのですよ。

普通のキャンプでは絶対持って行くと思います。だって楽しみに行くんだし。修行じゃないし。

でも旅では。旅では、旅人の私に戻りたいですからね。

足るを知れ、てね。死ぬまで勉強です。


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